中教審「審議のまとめ」 パブリックコメントの受付開始

文科相がパブリックコメントの受付を開始しました。6月28日までとなっています。みんなで意見を送りましょう。

パブリックコメントのページは下のURLです。

「 「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)」に対する意見募集 (office.com)

職場に送った速報を下からダウンロードできます。

速報№6(表面)

速報№6(裏面)

和歌山市内で街頭宣伝 「残業代出てへんって知らんかったよ」

6月1日は、全教が呼びかけた一斉行動の初日。和教組も和高教と合同でJR和歌山駅前で宣伝しました。訴えを聞いていた人が、「先生に残業代出てへんって知らんかったよ」と話しかけてくれました。

6月8日は、和教組大会終了後に参加者のみなさんとともに会場前で宣伝しました。

それらの様子は下からニュースをダウンロードして下さい

多忙解消のための給特法改正を目指す和歌山のニュース「CHANGE!1」

これでは長時間労働は解消できない! ―中教審特別部会「審議のまとめ」

5月13日、中教審の「質の高い教師の確保特別部会」が「審議のまとめ」を発表しました。前進面は小学校中学年への専科教員の加配など一部に限られ、基礎定数の改正など教員増への抜本的な改善には後ろ向きです。また、給特法についても残業代支給ではなく教職調整額の10%引上げに止まるなど極めて不十分な内容です

教職の魅力復活には教職員の増員が必要

特別部会は、「働き方改革の加速化」「教員の処遇改善による教職の魅力の向上」等の方策について、11か月にわたって審議してきました。

「審議のまとめ」の素案(以下「まとめ」)では、「働き方改革の更なる加速化」について、教育委員会で産業医を任用し、50人未満の学校の教職員の健康管理を行うなど労働安全衛生体制の充実や、11時間の「勤務間インターバル」の取り組みの推進などの必要性を示しました。

しかし、長時間過密労働を解消し、教職の魅力を復活させるためには、教職員の増員が不可欠です

抜本的な定数改善には背を向ける内容

「まとめ」は、抜本的な教職員定数の改善には背を向けています。

「教師の持ち時間数の軽減が必要」としたことはその通りですが、具体的に示されたのは、小学校中学年への専科指導加配と中学校への生徒指導担当教師の加配でした。私たちが要求する「持ち時間数の上限設定」については、「受け持ち児童生徒が少ない場合は持ち授業時数は多いものの在校等時間は短」い事例があることなどを理由に否定しています。

また、基礎定数を引上げるために必要な義務標準法の「乗ずる数」の改善は、「必ずしも増加した教員定数が持ち授業時数の減少のために用いられない可能性がある」として、「他の定数改善施策との関係にも留意しつつ、検討を深めることがのぞましい」という記述にとどまりました。

教職員はできるだけ増やさない、教育予算は増額しない、という頑なな姿勢を感じる内容となっています。 

「新たな職」を追加、さらに階層化をすすめる

「まとめ」は、さらなる「新たな職」の導入を示しました。

今回示された「新たな職」の役割は、「若手教師へのサポート」や「学校内外との連携・調整」などを挙げつつも、「地域や学校において柔軟に対応できる仕組みとすることが適当」ともされており、固定化されていません。

中堅層の教師を配置するとし、給料表上、現行の2級(教諭)と特2級(主幹教諭)の間に新たな級を創設するとしました。 こうした教員の階層化を進めるのは、上意下達の仕組みを強めるねらいがあり、教職員の共同が壊される心配があります。

これでは学校の危機的状況から抜け出せない

私たちが求めている残業代支給については、教師の業務は自身の自発性・主体性に委ねる部分が大きいことや、自発的な業務と命令による業務との峻別が困難等の理由から、「時間外勤務命令を前提とした勤務時間管理を行うことは適当ではない」とし、時間外勤務手当(いわゆる残業代)は「馴染まない」と断じています。

一方で、1974年に教員を確保するために制定された人材確保法により、教師と一般行政職との給与差が7%あったのが、現在はわずかとなっており、当時の優遇分の水準を確保するため、現在4%の「教職調整額」を少なくとも10%以上とすることが必要だとしました。

労働基準法では残業代は、たとえば平日であれば25%増となるなど、残業をさせた事業主側へのペナルティとしての側面があり、事業主は残業を減らすために人員増へと促されます。調整額の引上げは処遇改善には違いありませんが、教職員増員による多忙解消にはつながらず、これでは学校は現在の危機的状況から抜け出せません。

学級担任への手当加算、給料の調整額見直し

「まとめ」は、現在、一律に支給されている義務教育等教員特別手当の支給方法を見直し、「学級担任について手当額を加算する必要がある」としました。

また、特別支援学校・学級の教師に支給されている「給料の調整額」についても、「通常の学級にも特別支援学級の対象となる子供たちが在籍していることを踏まえ」、「通常の学級を含め学級担任として指導している教師や特別支援教育コーディネーター等の組織的対応を担う教師が、その職務に応じ適切に処遇されるよう」求めました。

義務教育等教員特別手当は、全体を増額するのではなく、「支給方法の見直し」であり、学級担任には増額されますが、それ以外の教師は減額されるおそれがあります。給料の調整額についても引き下げられる者がいるとしたら問題です。

また、学校現場では担任以外の人もそれぞれが重要な役割を担い、協力して運営しています。給与に格差を設けることは、共同の破壊につながるものです。

現場の声を聞かず勝手に決めることは許されない

今回の「まとめ」に示された内容は、「教職員の増員」という点では全く不十分です。「新たな職」や「職務給の原則」を持ち出して示した、いわゆる「メリハリのある給与体系」は、学校現場での教職員の共同を破壊するおそれもあります。そもそも、教職員の声を聞かずに教職員の働き方や処遇を勝手に決めてしまうことは許されません。

今後はパブリックコメントを経て中教審答申が出され、関係法律の改正は来年1月からの通常国会となる見込みです。引き続き「残業代支給を可能とする給特法の改正」を強く求めていく必要があります。豊かな教育を保障するために、教職員の増員を求める運動を広げましょう。