県教委は、県学習到達度調査(県学力テスト)を12月8日に延期して実施することを公表しました。新型コロナによる臨時休校のため、学校では授業時間の確保が課題となっており、和教組はこの間、何度も県学力テストの「中止」を求めてきました。それにもかかわらず実施に固執する県教委の姿勢は問題です。

学校行事もとりやめるのに…

県教委は、当初10月に予定していた県学習到達度調査(県学力テスト)を、12月に延期して実施することを通知しました。

新型コロナによる休校措置が明け、子どもたちは感染のこと、学習のこと、友達との関係のことなど、様々な不安を抱えて登校してきています。教職員は例年以上にゆったりと子どもたちと関わる必要を感じながらも、授業時間の確保に悩み、その上に消毒など新たな業務が加わっています。夏休みも短縮し、中にはすでに遠足や運動会など、子どもたちが楽しみにしている行事をとりやめる判断をした学校もあります。

和教組はこれまで、申入れ等で「県学力テストの中止」を求めてきました。学力テストの実施は、テストのために授業時間が削られ子どもたちの負担が増すだけでなく、採点や分析なども教職員に大きな負担となります。

今こそ本来の教育が求められている

時間の問題だけでなく、学力テストの「出題範囲」が各校の自由な工夫を制限することも大きな問題です。学校では教員が子どもたちの実態をふまえ、今後の教育計画を工夫しています。文科省が「特例的な対応」としながらも、「次学年又は次々学年に移して教育課程を編成する」ことを可能としたこともあって、多様な教育計画が検討されています。

そこに県教委が「出題範囲」を設定すると、教職員はそれに追い立てられ、子どもたちにゆとりある教育を保障することが困難にされてしまいます。

県教委は、新型コロナで休校措置のあった今年度だからこそ実施する必要があると言いますが、今年度だからこそ、順位争いで子どもや学校を追い立てる教育ではなく、子どもたちの実態から出発する本来の教育が求められています。

全国学力テストのサンプル分析も中止すべき

今年の全国学力テストは中止となりましたが、問題冊子等が教育委員会や学校に送付されます。県教委は昨年同様、抽出した学校にテストを受けさせてサンプルを集め、学力対策に活用しようとしています。サンプルを提出する学校では、全国学力テストの実施が求められます。文科省が「新型コロナウイルス感染症にかかるその後の状況及び学校教育への影響等を考慮し」中止とした全国学力テストの実施を、一部の学校におしつけることは問題です。

和教組は引き続き中止を求めていきます

和教組は引き続き、県学力テストおよびサンプル調査の中止を求め、申入れ等をおこなっていきます。競争や管理による教育ではない、新しい教育をみなさんとともにつくっていきたいと考えています。

→職場からのメッセージはこちらから(組合員のページ)