県教委は、来年度の中学校の県学力テストを業者に委託し、年間2回の実施(現在は1回)を計画していることが分かりました。全国学力テストの順位を上げるために、子どもたちへのテストを増やし、復習教材を繰り返し行わせることは、逆に学びへの意欲を失わせるものです。また、県教委にはテストの反復で順位向上を図るのではなく、予算を教職員増員などに充て、豊かな教育環境を整備することが求められます。和教組は、県教委に対し計画の撤回を求めていきます。

4月と12月に国、数、英で実施予定

公募のための「仕様書」によると、対象学年は中学校全学年、教科は国語、数学、英語です。4月のテストは全国学力テストと同日(19日)、2回目は12月8日に予定されています。

調査問題の作成、印刷、配送、回収、採点、集計、結果資料の作成等は業者が行い、学校には、過去の結果も反映させた個人票や学級の集計、個々に応じた復習教材などが届けられます。予算は約4千万円を「上限」としており、教職員の増員に回せば、5~6人分に相当する額です。なお、小学校の県学力テストは従来通り年1回実施です。

テストを増やせば学力があがるのか?

第一次安倍政権が自由競争と効率化を求める新自由主義に基づき、全国学力テストを復活させて以降、全国で順位競争が激化しました。過去問の実施など、事前のテスト対策が横行する中で、文科省さえも「調査により測定できるのは学力の特定の一部分である」「序列化や過度な競争が生じないように」と注意を促すようになりました。しかし、県教委は競争にのめり込み、全国学テの順位を上げることに執着しています。

子どもたちに全国学テの類似問題をさせ、復習を繰り返せば順位は上がるかもしれませんが、それは「学力が向上した」と言えるのでしょうか。おもしろくない学習に子どもたちは学ぶ意欲を失い、それが「教育」だとされれば、教員は授業づくりへの意欲を失います。こうした県教委の施策は、子どもからも教員からも学ぶことの楽しさを奪い、逆に学力低下を招くものであり、方向転換が切実に求められます。

学力テスト体制からの脱却が切実に求められている

全国学力テストも県学力テストも、「教育施策の検証」を目的とするのであれば、全員対象でなく抽出調査で十分です。行政はその結果をみて自らの施策を検証すべきで、学校や子どもに復習プリントなどを押し付けるべきではありません。和教組は、今回の2回実施の撤回を求めるとともに、この機会に県教委に県学力テストそのものの中止を含め、学力テスト体制からの脱却を強く求めるものです。